星達の運命さだめ

星は大地に落ちるとその輝きを失いやがて消えてしまう。
だから僕は星を必死に追いかけた。

「やあ星さん。落ちたら死んでしまうよ?」
「そりゃあ死にたくないさ。
けれどもオイラ達はそういうモノ。
空で輝き落ちて死ぬ。
それはもう決まっていることで当たり前のことなんだ。」

それは人間にとっての寿命、と同じなのかもしれない。
老いて死ぬ。それは人間にとって当たり前のことだ。
死んでしまったら何もなくなってしまう。だから僕達は一生懸命生きるのだろう。
そうして満足いくまで生きて・・・静かに死ぬ。

だけど・・・。
目の前の星はまるで子供のような語り口調で
その体は今もなお明るい色を宿し誇らしげに輝いている。
その様はちっとも死に往く者の儚さなんて持っていなくって。

―――まるで空という牢獄から離れて
自由に飛びまわれる最後の瞬間を謳歌しているように。
僕には見えた。

そう思ったら・・・とても悲しくなって。
僕は落ちる寸前の星に手を伸ばした。

「わっ・・・!
やめろよ馬鹿!君、魔法使いだろ!?
オイラを掴んだりしてみろ、ろくでもないことになるぞ!?」

星は逃げるように上昇する。

「僕は大変なことになるかもしれないけど・・・。
君は落ちたら死んでしまうだろ?
―――それはきっと。悲しいことだよ。
死んでしまったら家族にだってもう会えない。
僕は・・・一人だけど・・・
君はまだ、あの空に友達だっているんだろ?」
「・・・友達はいるけど、これは当たり前のことなんだぜ?
ただ、オイラの番になっただけなんだ。
君、わかってるのかい?オイラを掴むって事は・・・
悪魔と契約するって事だ。
それは魔法使いにとって・・・ろくでもないことにしかならないんだ」





魔法使いハウルと火の悪魔その3。
流れ星との対話。
星は空から零れると地面に落ちて燃え尽きてしまう。
それは星のとっての死であり寿命でもある。
長く生きる星もあれば短い年月で死ぬ星もある。
それは彼らにとって運命であり逃れられないこと。

少年はそのあり方がかわいそうだと思った。
星は死に行く定めを知りながらもその少年の優しさに興味を持った。

だけれども。
それによって二人の身に起こる事を二人は良く理解していなかったのだ。





この辺ちょっと原作と変えてます。
最後の部分生かせれば結構大丈夫そうなので。
原作のマイケルとソフィーの流れ星取りのエピソードだと
星は助けてくれるというマイケルの言葉に耳も傾けず
死んでしまっています。
そのあり方が彼らにとっての当たり前なら
これってカルシファーの個性なのかなと思ったので。

あと人間に捕まると悪いことになる、という漠然とした
事実は年を取ったものほど良く知っているんじゃないかなぁ・・と。
カルシファーってたぶん若い気がするので
知ってはいるけどどうなるかまでは知らないというところ
持っていてもおかしくないかな・・・と。
続きはその4で。