ひとりぼっち


離れのドアを開けるとそこは
遠くに山々を望む美しい草原だった。

あまりに唐突に現れた目の前の
その風景が信じられないくらい美しくて・・・。
僕はピーターパンに出てくる
夢の国に迷い込んでしまったのかと思った。

だから僕はその世界の美しさを目に焼き付けて帰ろうと。
日が暮れるまでその美しい光景に見入っていた。


夜の帳が落ち、お腹が空いてくると
僕は家に帰ろうと思った。
離れのドアから出てきたんだ。もう一度入って
出れば僕の家に帰れると思うだろう?


だけども。
離れは離れで。
ドアは何度開けても草原にしか繋がらなかった。


そこに至って・・・僕はようやく気が付いたんだ。

僕は夢の世界にいるんじゃない。
ここは紛れも無く現実の世界で・・・。
大好きな家族と、遠く離れたこの場所で・・・
たった一人で生きていかなくてはいけないかもしれない。
その事に。




魔法使いとハウルと火の悪魔その1。
ウェールズに住む、弱虫だけど感受性が強く
優しい少年ハウル・ジェンキンスはある日突然
見知らぬ世界に足を踏み入れることになる。

しばらくは泣いて暮らすだけだったハウル。
手持ちの食べ物もなくなりいよいよ生命の危機に瀕すると
いよいよもって泣いて暮らした。
家族の思い出が残るこの場所を離れたら
一体自分は何を拠り所にして生きていけばいいのか。
まだ幼い少年にはわからなかった。

そんな時。
宮廷付き魔法使いサリマンが彼の前に姿を現す。
能力も才能も高いものをもつ彼が現れることを占いで知っていた彼女は
ハウルを自分の後継者にしようと考えたのだ。
ひもじくて死にそうになっていた彼は1も2もなく
この話に飛びついた。
そうして異世界の少年は魔法使いを目指すのだった―――。



・・・餌付け?
まあそれは置いておいて。
とりあえずハウルの生い立ちからはじめようかと思います。
原作はその辺ざっくり書いてるんですが
映画のほうはハウルが天涯孤独なあたりは詳細を描いていないので
その辺も交えてちくちくと埋めていくつもりです。
基本的には映画には矛盾が出ないようにしますが
原作のいいとこももってこられるといいなぁ。