相棒


「―――――」
「おいっ・・・女!生きてるか!」
「・・・・ッ・・・。
女、ではない。マスターだ。
ランサー」
「〜〜〜〜〜っ。
フーーー・・・。
おいおいいきなり宿無しになるかと思ったぜ」
「馬鹿を言うな。この程度の修羅場
何度もくぐっ・・・
っっ・・・う・・・」
「やれやれ・・・。
オマエの魔術による攻撃で魔力を大分『止めて』いたから
良かったようなものの・・・。
密着で直撃していたら死んでたぞ、アレ。
しばらくまともに動けんだろ。
クク・・・命知らずだな、オマエは」
「フン・・・あなたにそれを言われるとはな。クー・フーリン。
・・・それからオマエというのはやめてほしい。
バゼット・フラガ・マクレミッツという名がある」
「ほう・・・いい名だな。バゼット。」
「・・・っ・・・。
その・・・ありがとう」
「? 名前のことか?」
「いや、私のサーヴァントになってくれたことだ」
「フン・・・。
腕っ節も強くて誇り高い。その上美人ときている。
断る理由があるか?」
「・・・違いないな」
「ハッ!言うじゃねえか!
よっと・・・」

バゼットをおぶうランサー。

「なっ・・・何をするっ!
ひ、ひとりで歩ける!・・・っっっ・・・」
「いったろうが。まともに動けんと。
直るまでおとなしくしているこったな。
とりあえずねぐらはどっちだ?」
「・・・・。
あっち・・・。だ」
「あいよ。では帰ろうか。我々の城へ、な」


「完全幻影」の魔術によってダミー爆弾を
設置したキャスターは、既に転移で逃げ去った後だった。
逃がした獲物は大きいがそれでも、
互いの力量を確かめ合った主従の中には
信頼が芽生えていた。
それはこの戦いを勝ち抜くに
足る「相棒」としての信頼である。