我々の戦場


落ちる岩をまるで漫画のように次々と駆け上る
青き影。
―鮭飛びの術―
城壁すら軽がると飛び越える
その超人的技術はまさに、この英霊がかの『英雄』であることを示していた。

槍の英雄。死棘の槍を操るもの。
アルスターの猛犬、クー・フーリン。
―――その人であると。


「・・・・ッ・・・!」
「呆けるな、女。
オマエは言ったな。俺と共に死力を尽くせる戦場を駆けると。
ならば示せ。
このオレが打ち倒すべき敵の姿を!」
「――――!!
……違うな、『ランサー』。
君が打ち倒す、ではない。
『我々が』、だ」
「―――ほう。
ククッ・・・面白い。
ではいこうか、『我が主人』」
「ああ。ランサー。
キャスターを・・・倒すぞ!」


今これより彼は崇拝すべき偶像ではなく
我が腕となり足となり、そして
共に紅蓮の戦野を行く友となろう。
今より始まるのだ。我々の聖杯戦争が。