誓い―ゲッシュ― 前編


グシャッ!竜牙兵の頭を叩き潰す。

「ふう・・ん。なかなかやるみたいね、魔術師さん」
「伊達に封印指定の魔術師の相手はしていないのでね・・・
しかし・・・」
『自らが招いた甘さとはいえ・・・
まさかサーヴァントに網を張られているとはな・・・
コトミネの苦言が痛いな。もう戦争は始まっている・・・か』

遭遇は唐突だった。
召還された数十の竜牙兵による牽制。
無詠唱魔術による空中からの的確かつ強力な狙撃。
アウトフィールドを利用した空間転移によるかく乱。
”魔術師”のサーヴァントらしい戦い。
その魔術師としての力量と判断力は
今まで相対してきた敵の群を抜くものだった。
市街地での戦闘を避ける為に山中に移動したのは
どうやら失敗だったようだ・・・。
バゼットはガケに追い詰められていた。

「でもこれで終わりだわ。
そのタフさには舌を巻いたけれど・・・貴女人間?
でもサーヴァント相手に一人では・・ね。
・・・あなたも私も。
・・・・・さああきらめなさい。今なら私のクグツとして
使ってあげるわ」
『・・・?一人・・・?
マスターとの連携が取れていないのか・・・?
確かにマスターの姿は・・見えない・・・』
「・・・残念ながら私は生きしぶとくてね。
あきらめるつもりなど毛頭ないし・・・貴女に負けるつもりもない」
「・・・その逆境にくじけない精神力。
あなたマスターになったら危険だわ・・・。
もったいないけど。やはりここで死になさい」

キャスターの手から研ぎ澄まされた魔力波が
レーザーのように崖の基部を抉る。

「・・・っ!」
「さようなら」

砕かれ落ちる崖。
不安定な体勢のバゼットに
同時に放たれていた6条の必殺の魔力弾が迫る!

「くっ・・・!」



唐突な出会い。
冬木についたばかりのバゼットと時同じくして、召還されたばかりのキャスター。
日和見主義でありながら我欲ばかりが強いキャスターのマスターは
情報収集の途上、魔術協会からの派遣魔術師の噂を聞きつける。
協会の強力な”魔術師狩り”がサーヴァントを得て戦列に加わる。
その状況を恐れた彼は、キャスターにバゼットの捕獲
または殺害を命じるのだった。
従順さを演じていたキャスターは
自らのクラスの特性上危険だと思いつつも承諾し、
バゼットとの戦闘を開始するが・・・。

ちなみに葛木先生じゃないよ。