友人


カチャッ。

「お?なんだ、電話ってやつか?」
「ああ」
「伝令も必要とせず遠くの人間と会話できるのだから
便利なもんだよな・・・。で、誰からだ?」
「聖杯戦争の監督者からだ」
「・・・ほう。
ククク・・・いよいよ始まるというわけか」
「いや、そういうわけでもないようだな」
「あ?
始まりを告げるわけでもねえのに
・・・聖杯戦争の監督役が自分から接触?
私的な用件か?」
「まあそんなところだ」
「・・・フン・・・。匂うな。
おいバゼット。やめておけ」
「・・・・・・何故だ?」
「こいつのシステムは詳しくは知らんが・・・。
だが、オマエも俺も戦う為にここに来た。
ならばその為だけにあればいい。
違うか?」
「・・・・・・・。
その通りだ。・・・だがな、ランサー。
――――彼は。
私にとって。大切な友人なんだ。
命を救われたこともある。
だが私は・・・。彼にその借りを返せたことがないのだ・・・。
ただの、一度も・・・な」

顔を伏せる。

「・・・・・・・。」
「彼が私の力を借りたいと言ってきている。
・・・行く理由がそれでは・・・駄目だろうか?」
「・・・チッ。
あー。俺も人の事言えねえしな。
ここで行くなっつったらフェルグスの叔父貴に笑われちまう。
借りは返すもんだってな。
・・・わかった。だが俺も付いていくぞ。
わかったな?」
「・・・ああ。ありがとう、ランサー・・・。」
「チッ。なーんか気に食わねぇ!」


バゼット編マンションその3最終話。
神父からの誘い。
彼らの生活はここに終わる。
神父の誘いが彼らにもたらすものは・・・。