誇り


「〜〜〜っっ!?」
「・・・っと、わりっ」
「・・・見たか?」
「・・・ああ。ばっちり。
女だてらにぬるくねえ人生渡ってきたようだな」
「・・・まあ遅かれ早かれ見られるとは思ってはいたが・・・。
まがりなりにも女性である以上
やはり恥ずかしいものだな・・・。この体は。
見せられたものではない」
「あ〜・・・・」
「男装もな・・・まあ・・・その好き好んで
してるわけでは無くてな・・・。
本当は女性らしい格好もしたいというか
・・・折角貴方と会えたというのに
すいぶんと可愛くない女に見られているだろうな、とは
自分でも思うっ・・・」
「・・・・っと、落ち着けっ!バゼット」
「・・・!
・・・すまん・・・。どうやらかなり動揺しているらしい」
「・・・クク。おい。オイフェはわかるか?」
「女戦士スカサハと敵対していた女王だな・・・。
武勇に優れ、たしか貴方の子を生んだという・・・」
「そうだ。あいつも戦士として生き、その宿命として体に傷は多かった。
だがな。バゼット。
いい女はな、体に傷があろうとなかろうといい女なんだ。
自らの道を貫いて生きているカッコイイ女はな。
傷なんてあって当たり前なんだよ。
だからな。オマエはいい女だと思うぜ。
―――誇れ。
オマエを笑う奴がいるなら俺が黙っちゃいないからよ」
「・・・っ・・・。
ああ。・・・ありがとう。
しかし・・・クク・・・。史実どおりいい女に目がないのだな。
見境無く口説く」
「ハッ・・・!言うじゃねえか。
もう大丈夫だな。カワイイマスター様よ」
「ああ。心配御無用だ
好色サーヴァント」
「うるせ」


バゼット編その10。
どんな道で生きていても女だからこそ
美しくいたいと思う。それは普遍だ。
だが彼女にはそれよりも成さなければならないことが多すぎた。
だからその体に消えない傷が残ろうとがむしゃらに
前に進み続けた。

それは女としても人としても。
とても美しい事だ。
だから誇れ。お前の人生を。



新都での拠点であるマンション。
キャスターとの戦闘の傷が癒えないバゼットは
まともに動けるようになるまで治療に専念する。