■コイムスビ-神様と一緒-
―――1:拝啓、主様

 拝啓、主様。


 今日、主様の力を色濃く受け継いだやや子が生まれました。
 名は響-キョウ-。玉のように可愛らしい女の子です。

 女子に生まれたとはいえ、この子もいずれは御身の為、お山を守らねばならぬ身。立派な猪神となれるようびしばしと鍛える所存であります。

 そこで、護法としての自覚と責任を芽生えさせるため、今までは私が行ってまいりましたこのお祈りを、響に任せようかと思うのです。
 まだ生まれたばかりゆえ、近日、というわけにはいきませぬが、神通が芽生え、主様とお話が出来るようになれば、すぐにでも任せるつもりであります。

 主様に娘の声が届きましたら、お言葉を賜れれば幸いです。
 我ら護法は主様にお仕えするもの。主様からいただけるお言葉は至上のもの故、きっと響も喜ぶでしょう。


 ………と、話が長くなりました。
 先日妻から、「貴方は話がくどいのです」と叱られまして………はは。
 娘が来た際には、是非ともお相手頂ければ幸いであります。


―――皐月、戌の刻。貴方様の護法、猛-タケル-より。
敬具。
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