おさんぽ気持ちいいね!シロウ!
なんか手を引かれて歩くのってお姫さまっぽいとおもわない?

え?うーん……お姫様って言っても……
私はただの魔術回路だから。おじーさん達には
お姫様扱いなんかされたこと無いよ。ケホッ。
壊れたら終わりの…道具だもん。





むー。シロウまたそんな顔するー。
でも、私の事だから許しちゃうよ。くすくす。

……ネコはさ。ネコとして生きて、ネコの寿命で死ぬ。
それが……あたりまえだよね?
だから……私もそうなんだよ。シロウ。





ん……。えへへ……シロウには嘘つけないなぁ……。

うん。私ネコきらい。けほっ。
だって私は人の形をしているのに……シロウと同じ時間を生きられない。
でもネコはネコとして生まれて、ネコとして可愛がられて、ネコとして納得されて死ぬよね。
死ぬ時だって……一人でどこかへ行って死ねるもん。
ずるいよ……。





う……。だ、め…だよ…。優しくしちゃ……。駄目……。
ぐすっ……ほんとは……強くないよ。
シロウの前でしんじゃうの……やなんだもん…!
生まれて、自分の寿命を知って。それが当たり前なんだって気付いても……。
一人のときは良かったの……。ぐすっ…。


でも…今はリンがいて、サクラがいて、タイガがいて……シロウがいる。
苦しいって叫んだら……声が届いちゃうんだもん……!





あう……。ひっ…く。だ、だってシロウ優しいんだもん……!
もう、一人でどこかへなんて、いけないよ…。
一人で寒いのはもうやなんだもん…!ひっ…く。
だけど…シロウの前で死ぬのは……もっとやなんだもん…。

ひっ…く!…どうしたら……いいのかなぁ……ぐすっ。
雪みたいに…きえちゃえれば…苦しくなんて……ないのにね…。



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